糖尿病の症状について

糖尿病で出る症状の種類は、他の病気と比べて実に様々です。ここではどんな症状が、どんな風に、どういった経緯で出るのかについて触れていきたいと思います。

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糖尿病の初期症状

糖尿病の初期症状

糖尿病は発病していても自覚症状が出にくい病気です。一体どんな初期症状が出るのでしょうか。まとめてみました。

  • 異常に口が乾いてしまう
  • 多尿
  • 体重の減少
  • 疲れやすい

ざっくりこんな感じでしょうか。疲れやすいというのはあいまいすぎて判断しにくいですが、残りの症状については本人は気づけなくても周りが気づくほど目に見えて現れます。

実際にあった症例をご紹介します。仮にAさんとしましょう。Aさんはペットボトルにお水を入れて飲んでいたのですが、一本を空にしたかと思うとすぐに別のペットボトルを持って飲んでいたそうです。「何か喉が渇く、しょっぱいものでも食べたっけ?」そんなことを言うから、最初は誰も気にしませんでした。

でも、日に日に飲む量が増えていき最終的には冷蔵庫の中に500mlのペットボトルが14本と机の上に2リットルの水出しポットを1つ、更に2Lのペットボトル2本に入れた水を2日程度で空けてしまうまでになりました。異変を察知した家族が片足に壊死を見つけたのは、ちょうどその頃だったそうです。

お水をたくさん飲んでいる。些細なことなのでうっかり流してしまいがちですが、少なくとも2週間以上それが続いているようでしたら糖尿病を疑ってみた方がいいかもしれません。また、お水をたくさん飲んでいるのでトイレの回数が多くなったりしても当たり前のことだと異変には気づかれにくいです。本人もそうなるのが当然だと思ってしまうので厄介です。

体重の減少

糖尿病になると、血液の中のブドウ糖が多くなります。すると血液はドロドロの状態になり血流が悪くなっていきます。栄養がちゃんと運ばれなかった臓器などは、届かないブドウ糖に代わって体の脂肪や筋肉を代替エネルギーとして消費するようになってしまいます。これによって体重の減少が起こり、筋力の低下もあって疲れやすさを感じるようになるのです。

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この症状は糖尿病のサインかも?チェック項目一覧

こんな症状が出ていたら、それは糖尿病のサインかもしれません。思い当たる症状はないかセルフチェックしてみましょう。

この症状は糖尿病のサインかも?チェック項目一覧

  • のどが渇き、水を大量に飲んでしまう
  • 体がだるく疲れやすくなった
  • 食欲が異常にある
  • 食べているのに急にやせ始めた
  • 手先や足先が冷える
  • 体がむくむ
  • 食事中に汗をかく
  • 食事後に酷く眠い
  • 性欲がほとんどない
  • 傷が治りにくい
  • 立ちくらみするようになった
  • 便秘や下痢がずっと続くようになった

いかがですか?足の症状、目の症状、皮膚の症状、尿の症状については後にそれぞれ別項目で設けているので、ここではそれ以外の症状について挙げてみました。糖尿病そのものが起こす症状と、合併症が起こす症状(下3つの項目)です。

「水を飲め!」

糖尿病になるとすい臓で作られるインスリンが減ったり効果が弱まったりして、処理し切れなかった血液中にブドウ糖が増えます。すると糖濃度の高さを察知した脳が「水を飲め!」と体に命令を出します。水分を取ることで血液を薄めようとするんですね。

ところが、いつまでたっても濃度は高いままなので、ずっと大量の水を飲み続けるようになります。そして、こうしたドロドロ血液によって動脈硬化が起こり、血流が悪くなります。血流が悪くなると、末梢神経に障害が出るようになります。

糖尿病の初期だけに見られる症状のようですが、食欲が異常にあって食べても食べてもまた食べたくなるといった状態になることがあります。

これは、血液中に増え始めたブドウ糖を処理しようとして一時的にインスリンが多く分泌されることによって起こります。症状が進み悪化してくると、いつも通りに食べているのに急激にやせてしまうようになります。ブドウ糖をエネルギーとして吸収できなくなった体が、代わりのエネルギーとして筋肉や脂肪を使うようになってしまい急激にやせてしまいます。

また、そうして自分の体をエネルギーとして使ってしまうので、だるさや疲れをすぐに感じるようになります。食事の後の眠さも、これによるものです。

自立神経障害によるもの

糖尿病によって自立神経障害が起こると腸の動きに支障が出るようになり、下痢になったり便秘になったりするようです。通常の下痢と違って急にお腹が痛くなるといったことはないそうですが、連日続けば体力も消耗しますし脱水症状を起こしますので厄介です。

ぱっと見では糖尿病と結びつかない症状も実は繋がっていることがお分かり頂けたでしょうか?もし上記の症状がいくつも該当し、2週間以上ずっと続いているようなら早急に病院を受診してみることをお勧めします。

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こんな足の症状が出ていたら、それは糖尿病のサインかもしれません。足の症状が出ていないかチェックしてみましょう。

こんな足の症状は糖尿病のサインかも?足の症状チェック

  • 足が妙に冷える
  • 足が妙に火照る
  • 足が痺れている(指先がピリピリした感じがする)
  • 怪我をしていないのに足先が痛い
  • 足の皮膚が乾燥したりひび割れている
  • 最近、水虫になってしまったり、急にひどくなった
  • 足の皮がむけやすくなった
  • 突然、魚の目ができた
  • 足にタコができやすくなった
  • 最近、足に怪我をしやすくなった
  • 足の爪が巻き爪になりやすくなった
  • 足がよく攣るようになった
  • こむら返りがおきやすくなった
  • 足が痙攣する
  • 足の裏の感覚がよくわからない

いかがですか?上に挙げた一つ一つの症状は普通にも起こりやすい症状が多いので、かなり意識していないと「まあいいか」と流してしまいそうですよね。

元々冷え性の方は足の冷たさを常に感じていらっしゃるでしょうし、冬場でしたら足が乾燥してひび割れる方も多くいらっしゃると思います。すべての項目に当てはまるのですが、今まではなっていなかったのに『最近』『急に』季節に関係なくその症状が現れるようになったか?という点が重要です。

実は上記の症状は、糖尿病の初期症状ではないんです。自覚症状がないままに病気が進行してしまって起こる合併症の一つ、【糖尿病性神経障害】の可能性がある症状なんです。

糖尿病になると血液中にブドウ糖が多くなり、血液がドロドロになって流れにくくなってしまいます。そうすると、足の指先まで十分に流れることができなくなり、酸素を上手く運べなかったことによって末梢神経に異常が出るようになります。足の温度の変化やピリピリした感じは、これが原因で起こるわけですね。

よく足に怪我をするようになっただとか、足の裏の感覚がよくわからないという方は、足の知覚異常を起こしている可能性が高いです。感覚がなくなると足に怪我をしても痛くないので気づけず、気づかずに処置も治療もしないのでばい菌などが入り、発見した頃には足が壊死……なんてことも有り得るのです。

もしこの症状に身に覚えがある方は、できるだけ早急に病院での受診をお奨めいたします。

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こんな皮膚の症状が出たら糖尿病のサインかも?皮膚の症状チェック

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こんな皮膚の症状が出ていたら、それは糖尿病のサインかもしれません。皮膚の症状が出ていないかチェックしてみましょう。

症状考えられる病名補足
  • 皮膚のかゆみ
  • おでき
皮膚そう痒症血液中に多くなったブドウ糖を体の外に排出しようとたくさんの尿が作られて脱水症状となり皮膚の水分もなくなり、乾燥からかゆみが出るようになります。
  • 傷が治りにくく化膿しやすい
  • 胼胝(たこ)ができやすい
  • 足に潰瘍ができている
  • 壊死している
糖尿病性潰瘍・壊疽自分でも気づけないような小さな傷からばい菌が入るのですが、神経障害によって痛みなどを感じなくなっているために症状の進行に気づかず壊死してしまったり潰瘍になってしまったりします。部位は足が多いようで最悪は切断しなければならなくなりますので大変危険です。
  • 最近、水虫になった
  • 陰部がひどくかゆい
皮膚感染症糖尿病になると抵抗力が弱くなり様々な感染症にかかりやすくなります。糖尿病患者さんの多くは白癬症(水虫)になっているという報告もあります。また、女性は排尿時に糖濃度の高い尿が陰部に付着しカンジタなどの真菌などが繁殖して強いかゆみを感じるようになったりします。
  • 赤ら顔など
糖尿病性潮紅高血糖によって末梢の細い血管がダメージを受けた結果、赤ら顔になったりする症状です。顔以外にも手のひらや足の裏、手足の指が赤くなる場合もあります。
  • 手足や下腿に水泡ができている
糖尿病性水泡手足や下腿にやけどをした時のような水泡ができます。皮膚保湿保護効果のあるワセリンを塗ることで治療が可能です。
  • 足の裏などに潰瘍ができる
糖尿病性潰瘍 
  • 下腿に橙色の斑点がある
糖尿病性リポイド類壊死症(類脂肪性仮性壊死症)リポイドというのは、体内にある脂肪によく似た物質のことです。足の脛(すね)に橙色の斑点ができます。放っておくと腫瘍になってしまう場合もあるようです。
  • 首筋から肩の皮膚が硬い
糖尿病性浮腫性硬化症首筋から肩にかけての皮膚がだんだん厚く、硬くなっていき摘めないほどになります。やがて面積が拡大し、肩こりになったり首がうまく動かせなくなったりします。

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こんな目の症状が出たら糖尿病のサインかも?目の症状チェック

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こんな足の症状が出ていたら、それは糖尿病のサインかもしれません。足の症状が出ていないかチェックしてみましょう。

  • 急激な視力低下
  • 黒い小さな虫が飛んでいるように見える

いかがですか?糖尿病で現れる目の症状は決して多くありませんが、症状がないだけで静かに進行し、自覚症状がある頃には重大な状態になってしまうもので、しかも糖尿病初期症状と言うよりも合併症によるものです。では、それぞれについて順番にご説明しましょう。

キーワードは【たんぱく質の糖化】

どうして糖尿病で目が見えなくなるの?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないのでしょうか。なかなか直結しにくいですよね。血液中のブドウ糖が増えた状態が継続すると、血液中にあるたんぱく質と結合して別の分子になります。これをたんぱく質の糖化というのですが、これによって目の水晶体が白く濁って目が見えにくくなってしまうのです。

糖尿病の合併症の一つとして毛細血管の血流異常があるということは既に他の項目でお話しました。目にはたくさんの細かい血管が集まっています。血流不足が原因でも視力の低下は起こります。こうして引き起こされる糖尿病網膜症には症状が出ない状態から4つの段階があります。

  • 単純網膜症
  • 増殖前網膜症
  • 増殖網膜症
  • 増殖停止網膜症

下に向かうにつれて症状は悪化。(ただし、増殖停止網膜症はちょっと分けます)自覚症状は3つ目くらいからやっと出てきます。黄斑という部分に障害が起きている時は2つ目の増殖前網膜症で視力低下が起こります。

増殖網膜症

毛細血管の血流が悪くなった状態が続くと、体には本来存在しない新しい血管を作ってしまいます。これを【新生血管】というのですが、この血管は通常の血管よりも非常に脆いという性質があります。網膜の周辺から新生血管が伸び、水晶体にぶつかって破れ血液を周辺に飛散させます。

こうなると瞳孔からの光が血液によって阻まれてしまい、突然、急激に視力が下がったり、虫が飛んでいるように見える飛蚊症(ひぶんしょう)が出るようになるのです。放置すると網膜はく離が起こったり、最悪は失明してしまいます。

増殖停止網膜症

症状の安定によって新生血管や新生血管から漏れ出た血液の膜(増殖膜)の活動が停止した状態です。停止していますが、再び進行する可能性があるので油断できません。

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こんな尿が出たら糖尿病のサインかも?尿の症状チェック

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こんな尿が出ていたら、それは糖尿病のサインかもしれません。尿の症状が出ていないかチェックしてみましょう。

  • 排尿の回数が多い
  • 一度に出る尿の量が多い
  • 尿が泡立つ

いかがでしたか?これは自分でしか気づけませんが、今までと比べてみて思い当たるようでしたら要注意です。糖尿病のサインとして排尿の回数が増えるメカニズムをお話しましょう。

厳密に言うなら、糖尿病だから頻尿が起こるわけではありません。糖尿病になると血液中にブドウ糖が多くなり、その濃度を下げようとして脳が『水を飲め』と体に命令を出します。通常ならこれで濃度が下がって喉の渇きが収まり水を飲む手も止まるのですが、糖尿病になっていると常に糖の濃度が高くなっており、いつまでも乾きが収まりません。

この『続く口の渇き』によって水をたくさん飲み続け、その結果として尿の回数や量が増えるというわけです。

糖尿病になると血液中にブドウ糖が多くなると先述しましたが、血液中に溢れて行き場を失ったブドウ糖は、尿として排出されます。尿に糖がおりるのは、そういったメカニズムによるのです。この糖がおりるというイメージからか、尿から甘い匂いがするのも糖尿病のサインだと思っていらっしゃる方も多いのではないかと思いますが、それは【楓糖尿病(メープルシロップ尿症】という別の病気です。

どうして尿が泡立つのか?尿に泡を立てている原因はタンパク質にあります。

これは腎臓機能が低下し、糖尿病性腎症という合併症を起こしているサインになります。腎臓には糸球体(しきゅうたい)という細かな血管が網目のようにあり、それが尿をろ過しています。ところが、糖尿病になるとこの血管がブドウ糖の多いドロドロ血液によって傷ついたり硬くなってしまいます。すると、網目が裂けたりして穴が大きく広がり、普段なら通らないはずのものまで尿に出て行ってしまうようになるのです。それがタンパク質、そしてアルブミン(Alb)で、特にアルブミンは糸球体障害が起こっていなければ滅多に尿には出ないので、糖尿病性腎症の早期診断マーカーとされています。

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