血糖値の正常値

血糖値の正常値からの値を計ることで、高血糖や糖尿病は診断されます。血糖値の正常値を把握し、糖尿病の治療や予防に役立てましょう。

目次

妊娠糖尿病が心配!妊婦の血糖値の正常値は?

妊婦さんは血糖値が上がりやすくなり、糖尿病を発症しやすくなります。妊娠糖尿病とは妊娠中に発見・発症したもののことです。「糖尿病」と名前こそついていますが、糖尿病には至らない軽度の症状のものを指します。血糖値が高くなった妊婦さんの多くは産後に血糖値が正常値に戻りますが、それでも産後の糖尿病の発症率が上がるため注意が必要です。また妊婦さんの極端な高血糖は、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあります。

妊娠中の血糖値を測定する方法として、下記の3種類の検査方法ががあります。

  • 随時血糖検査
  • 50gGCT(経口ブドウ糖負荷テスト)
  • 75gOGTT(空腹時経口ブドウ糖負荷テスト)

検査方法によって正常値は異なります。それぞれの検査に基準値が設けられており、その値をどのくらい越えているかで妊娠糖尿病や高血糖と診断されます。

随時血糖検査

「随時血糖検査」は、食後の経過時間に関係なく採血を行い、血糖値をチェックする検査です。「随時血糖検査」は妊娠初期に行います。「随時血糖検査」の正常値と言える基準値は100mg/dlとされており、この値を基準に以下のように血糖値の状態を診断されます。

  • 100mg/dl未満 … 正常
  • 100~199mg/dl … 高血糖
  • 200mg/dl以上 … 妊娠糖尿病

50gGCT(経口ブドウ糖負荷テスト)

「50gGCT」は別名「経口ブドウ糖負荷テスト」と呼ばれます。この検査は妊娠中期に行われます。「50gGCT」は食後の経過時間に関係なく50gのブドウ糖を摂取し、その1時間後の血糖値を計る検査です。正常値は140mg/dlで、この値に対して以下のように診断されます。

  • 140mg/dl未満 … 正常
  • 140mg/dl以上 … 高血糖

75gOGTT(空腹時経口ブドウ糖負荷テスト)

「75gOGTT」は「空腹時経口ブドウ糖負荷テスト」とも呼ばれる検査です。この検査は妊娠初期の「随時血糖検査」または妊娠中期の「50gGCT」で高血糖と診断された人に対して行われます。朝食を抜いた状態でブドウ糖75gを摂取し、摂取前、摂取後1時間、摂取後2時間の3回に分けて血糖値を検査します。3回の検査での血糖値はそれぞれ以下が正常値となっています。

  • 摂取前 … 100mg/dl
  • 摂取後1時間 … 180mg/dl
  • 摂取後2時間 … 150mg/dl

3回の検査のうち、2回基準値を超えると妊娠糖尿病と診断されます。

妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんはほぼ同じ血糖値となっています。高血糖が身体に悪影響をもたらすように、妊婦さんの血糖値が正常でないとお腹の中の赤ちゃんにも影響が及びます。適切な時期に検査を行い、少しでも高血糖によるお産のリスクを減らしていきましょう。

低血糖というのはどれくらいの血糖値?

低血糖は、正式には「低血糖症」または「血糖調節異常」と呼ばれます。

「血糖調節異常」という名称に違和感を感じた方もいるかもしれませんが、実は「低血糖症」とは血糖値が低くなることだけを指しているのではありません。血糖値が正しくコントロールできなくなり、正常値の範囲を越えて乱高下する状態のことを「低血糖症」または「血糖調節異常」と呼びます。

血糖値の正常値は70~120mg/dlとされています。 60~70mg/dl以下に下がると低血糖と呼ばれ、血糖値が下がるごとにどんどん症状が悪化します。

低血糖は血糖値の正常値を元に判断されますが、血糖値のみでなく症状も低血糖の重要な判断基準となります。低血糖症は正常値を基準とした検査と共に、身体に起きている症状も見て状態を判断するのが大切です。

食後1時間の正常な血糖値

血糖値は通常食後に上昇し、時間の経過にしたがってゆっくり空腹時の値に戻っていきます。そのため血糖値の検査は、基本的に空腹時と食後の血糖値を計るものになります。食前・食後の血糖値の正常値を把握しておくのは、健康管理をする上で非常に大切なことです。食後1時間ではどのくらいの血糖値が正常値といえるのでしょうか。

血糖値をチェックする際は、「ブドウ糖負荷試験」という検査を行います。これはブドウ糖を摂取してから1時間後、1時間半後など一定時間経った後の血糖値を計って、その値が正常値かどうか調べるものです。

血糖値の正常値は140mg/dl未満とされています。検査はこの値を基準値として行われます。75gのブドウ糖を摂取するブドウ糖負荷試験では、摂取1時間後の血糖値が180mg/dl以上でも、2時間後の値によっては以下の通りに判定されます。

  • 摂取2時間後の値が140mg/dl未満 … 正常型
  • 摂取2時間後の値が140~199mg/dl … 境界型
  • 摂取2時間後の値が200mg/dl以上 … 糖尿病型

食後1時間以降の血糖値の正常値を知り、自分の血糖値の状態を正しく認識しましょう。

正常値の範囲とはどれくらいの値か

血糖値は基本的に空腹時と食後2時間経った後の値を計り、それが正常値の範囲内であるかどうかを検査します。血糖値のタイプは、空腹時の血糖値と食後2時間後の血糖値によって以下の4つに分類されます。

  • 正常型
  • 正常高値
  • 境界型糖尿病
  • 糖尿病型

正常型

正常型が最も理想的な血糖値です。正常型の血糖値は以下の範囲のものを指します。

  • 空腹時 … 100mg/dl未満
  • 食後2時間後 … 140mg/dl未満

正常高値

正常高値とは、2008年に設けられた正常型の中の新しい区分です。正常値の範囲ではあるけれど、糖尿病への移行率が高い値を正常高値と呼びます。空腹時の血糖値が101~110mg/dl未満の範囲を指します。

境界線型糖尿病

  • 空腹時 … 110〜125mg/dl未満
  • 食後2時間後 … 140〜199mg/dl未満

糖尿病型

糖尿病型は以下の値を指します。

  • 空腹時 … 126mg/dl以上
  • 食後 … 200mg/dl以上

これらの値に当てはまる際は治療が必要な状態です。もしこの状態で病院にかかっていない場合は、速やかに医師の診断を受けましょう。

血糖値が正常値でも糖尿病になるのか?

血糖値が正常値であっても、実は糖尿病だったというパターンがあります。

健康診断など血糖値を計る場面では、多くが空腹時の血糖値のみを検査します。ここで計った血糖値が正常値でも、実は食後の血糖値が極端に高く、さらに下がりにくいという「食後高血糖」という症状の可能性があるのです。食後高血糖は「隠れ糖尿病」とも呼ばれており、空腹時の血糖値を計るだけでは見逃されてしまうことがあります。

その為、多くの健康診断では、空腹時の血糖値とともにヘモグロビンA1Cという値を検査します。

これは血中でブドウ糖と赤血球が結びついた量を示す値で、これにより検査の1~2ヶ月前の平均血糖値を知ることが可能です。 ヘモグロビンA1Cは4.3~5.8%が正常値とされています。5.8%を超えると要注意、6.5%を超えると糖尿病の可能性が高いという指標になっています。

ヘモグロビンA1Cを検査するのも効果的ですが、もっと確実に糖尿病であるか検査したいという場合は、病院で「ブドウ糖負荷試験」を受けると良いでしょう。これは食後の血糖値を検査するもので、この検査によって糖尿病であるかどうかをはっきり調べることができます。

食後の血糖値の正常値

血糖値を計ることによって糖尿病を検査する際は、空腹時と食後両方の血糖値を計ります。

基本的に血糖値は食後上がり、その後時間の経過と共にゆっくり下がっていくものです。そのため食後の時間経過と共に、血糖値の正常値も変化します。食後の時間経過により血糖値の正常値は異なると言いましたが、食後2時間後の血糖値が140mg/dl未満だった場合は、正常型と分類され糖尿病の心配はないものとされます。

ですが正常型の中にも「正常高値」という分類があります。これは空腹時の血糖値が100~110mg/dl未満だった場合に分類されるパターンで、正常値の範囲内ではあるけれど、糖尿病に移行しやすい数値であるため気をつけたほうが良いという状態です。

また、食後の血糖値の正常値はその人の年齢や状態によっても異なります。

妊婦の場合、食後1時間後の血糖値は140mg/dl未満、食後2時間後の血糖値は120mg/dl未満が正常値とされています。この他、年齢によっても食後の血糖値の正常値は異なるため、今の自分の正常値がどのくらいなのかは正しく把握しておくようにしましょう。

高齢者の血糖値の正常値

糖尿病は中年から罹患者が増える傾向にあり、高齢者も要注意すべき病気です。特に65歳以上の糖尿病は「高齢者糖尿病」と呼ばれており、空腹時の血糖値は正常でも食後の高血糖が続くという特徴があります。そのため高齢者が糖尿病の検査をする場合は、「ブドウ糖負荷試験」によって空腹時と食後両方の血糖値を検査する必要があるとされています。

高齢者糖尿病になると、糖尿病の症状そのものだけでなく、脳卒中や心臓病にもかかりやすくなります。

これは糖尿病と加齢により重要な血管が傷つきやすくなるためです。「高齢者糖尿病」は血糖値だけでなく、血圧や脂質なども管理が必要になります。危険性や治療の煩雑さから見ても、「高齢者糖尿病」は早期に発見した方が良いといえるでしょう。

高齢者の血糖値は「血糖コントロール目標」という正常値が設けられています。

これは認知機能やADLの評価、低血糖を招く危険のある医薬品を服用しているかなど個々人の特徴から非常に細かく正常値を分けたものです。ADLとは食事や着替えなどの日常の基本動作のことで、高齢者の健康状態の指標としてよく利用されます。高齢者の血糖値の正常値がここまで細かく分けられているのは、高齢者は重度の低血糖に陥りやすいためです。そのため自分にあった正常値を理解し、それに合わせて血糖値をコントロールする必要があります。

高齢者の血糖値の正常値は、「ヘモグロビンA1C」の値によって定められています。ヘモグロビンA1Cとは1~2ヶ月間の血糖値の平均を示す値です。ヘモグロビンA1Cの正常値は以下の3つのカテゴリーによって異なります。

  • カテゴリー1:対象 … 認知機能正常、ADL自立
  • カテゴリー2:対象 … 軽度の認知症・軽度認知障害、または基本的ADL自立、手段的ADL低下
  • カテゴリー3:対象 … 中度以上の認知症、または基本的ADL低下、または機能障害や併存疾患が多い

対象がどのカテゴリーに当てはまるか確認し、それぞれの血糖値の正常値を見ていきましょう。

カテゴリー1

血糖値の正常値は、低血糖の危惧のある薬剤を使用しているか使用していないかで分けられます。

  • 薬剤使用あり(65~74歳) … 7.5%未満
  • 薬剤使用あり(75歳以上) … 8.0%未満
  • 薬剤使用なし … 7.0%未満

カテゴリー2

  • 薬剤使用あり … 8.0%未満
  • 薬剤使用なし … 7.0%未満

カテゴリー3

  • 薬剤使用あり … 8.5%未満
  • 薬剤使用なし … 8.0%未満

糖尿病や高血糖は他の重篤な病気を招きます。高齢者は特に血糖値のコントロールに気を遣い、正常値でいられるように心がけましょう。

糖尿病患者の血糖値の正常値

糖尿病患者と診断される血糖値にも基準があります。では糖尿病患者は、血糖値がどのようになるのが正常と言えるのでしょうか?

まず、健康な人の血糖値は以下の値が正常値とされています。

  • 空腹時 … 100mg/dl未満
  • 食後2時間後 … 140mg/dl未満

空腹時の血糖値が100~110未満mg/dlの場合正常高値に分類され、高血糖ではないけれど糖尿病に移行しやすい値であるとされます。

糖尿病患者であると診断されるのは以下の血糖値です。
  • 空腹時 … 126mg/dl以上
  • 食後2時間後 … 200mg/dl以上

こうしてみると、正常値と糖尿病患者の血糖値に大きな差があることが分かります。血糖値の正常値を正しく把握し、糖尿病患者の方は治療の目標としましょう。

子供の血糖値の正常値はどれくらい?

血糖値は成人ばかりが気にしてしまう値ですが、子供の血糖値の正常値がどのくらいなのかもしっかり把握しておく必要があります。子供は大人よりも低血糖になりやすい傾向にあります。イライラしやすかったり、いつも疲れを訴える子供は、もしかしたら低血糖かもしれません。また小児糖尿病と呼ばれる糖尿病もあります。子供の血糖値の正常値を知って、自分の子供の健康状態を把握しましょう。

子供の血糖値の正常値は年齢によって異なります。大体以下の通りの値が正常値であると思っておけば良いでしょう。

  • 乳児(生後1年~1年半) … 80~100mg/dl
  • 幼児(満1歳~満6歳) … 空腹時 70~100mg/dl
  • 10代 … 約87mg/dl

子供は大人よりも血糖値が変動しやすいのが特徴です。正常値に対して極端に血糖値が上下する場合は、医師の診断を受けた方がよいでしょう。

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